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【ユーグレナ・ジャーニー】バングラデシュ事業編

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【ユーグレナ・ジャーニー】バングラデシュ事業編
ユーグレナ・エアポート
創業原点の地バングラデシュで2014年よりスタートした、子どもたちの栄養課題解決を目指す『ユーグレナGENKIプログラム(以下、GENKIプログラム)」。2025年末、10年以上継続してきたこれまでの成果をまとめた「インパクト評価レポート」を公表しました。そこに至るまでの試行錯誤の舞台裏を、本プロジェクトに関わった仲間3人の声とともに、全4回にわたってお届けします。 過去の記事 バングラデシュ事業編 第1話 『ユーグレナGENKIプログラム』継続11年の答え合わせに挑む 第2回目は、今回のプロジェクトで根拠を数値化するための測定と分析を担った、中央研究所の中島綾香さん率いる研究チームです。 2014年GENKIプログラム開始当初から研究チームとして携わってきた中島さん。研究室やプロジェクトチームと対話を重ね、時間をかけて設計した調査項目でしたが、日本とは文化も環境も大きく違うバングラデシュ。現地では、日本の当たり前が通用しない想定外の壁が幾度となく待ち受けていました。この調査を前に実は、過去に一度成果の数値化を試みた経験があったといいます。今回は、現地で直面した葛藤をどのように乗り越え、11年目の調査をどのように成功へと導いたのでしょうか。 調査が難航した過去を乗り越えて、再挑戦の決意 ― 今回のチームで中島さんは、唯一開始当初から GENKIプログラムの歩みを仲間として携わってきた一員でもあります。今回、インパクト評価レポートの実施計画を聞いてどのようなことを思われましたか。 実は、インパクト評価への挑戦は今回が初めてではありません。数年前、別の手法で子どもたちの健康状態を測定するプロジェクトを進めていたんです。 しかし、初めての挑戦で、日本の基準とは異なる部分も多く、難しい場面が少なくありませんでした。確認できた傾向はあったものの、当時からお声としてはいただいていた、支援の手応えのすべてを数値化しきることができず、心残りを抱えていました。ですから今回のインパクト調査は、再挑戦の機会を得られたという思いで、強い意気込みを持って取り組みました。 ― 前回の調査の経験から、今回の調査に活かされたことなどはありましたか。 前回の調査では、日本と同じ方法で試験を行う難しさを痛感しました。たとえば、バングラデシュでは、家庭の事情で登校が途絶えてしまう子も少なくありません。一般的な調査では、同じ集団の健康状態を調査終了まで追跡していく必要がありますが、登校が途絶えてしまうとデータが欠損してしまいます。環境や文化の壁によって、科学的な分析のために必要な継続的なデータ取得が難しくなる厳しさを知りました。そのため、今回の調査では、できるだけ多くの子どもたちが最後まで参加できるように、設計時から働きかけを行うことや、全寮制の学校を対象に含めることなどで工夫しました。 また、日本では一般的な血液検査も、採血の習慣がないバングラデシュでは強い抵抗感をもたれました。そのため、検査を行うには、安全性や意義などについて保護者や学校へ丁寧に説明し、理解を得ることが必要不可欠でした。なので、今回は前回の経験を活かし、血液検査がなくても成り立つような調査設計を行うことにしました。 何度も立ち止まった文化の壁 イスラム教の全寮制の学校を訪れた中島(写真右) ― 日本との文化や習慣の違いは、調査項目の設計にも大きく影響したのではないでしょうか。 はい。血液検査とは異なる健康の調査として、反復横跳びのような体力測定も候補に含めていましたが、現地の仲間の助言により断念を余儀なくされました。しかし、いざ現地へ足を運んでみると、その理由がよくわかりました。スラム街にある対象校の多くは敷地が狭く、そもそも「グラウンド」や「体育館」が存在しない学校がほとんどです。日本の小学校では当たり前の、体育の授業が行われないという状況に直面し、改めて文化の違いを痛感させられました。 スラム街にあるインパクト評価対象校の子どもたち こうした経験も踏まえ、今回は「日本でのやり方」を現地に持ち込まないことから始めました。さらに、「現地の日常を邪魔しない調査設計」も大切に心がけました。科学的な正確さや理想を押し通すのではなく、現地の方々の意見を丁寧に聞き取りした上で、彼らの生活習慣や文化に寄り添い、無理なく協力してもらえる「今できるベスト」を模索し続けました。 一連の検討には「取り組みにより、子どもたちの生活・健康状態は本当に良くなっているのか」という問いに対して、子どもたちの変化の有無を調査と分析で明らかにしたいという、研究者としての使命感がありました。 歩み寄りと理解で切り拓いた調査への道のり ― 実際の調査はどのように進めていったのでしょうか。 採用したのは「主観と客観の両方を組み合わせて多角的に評価する」という手法です。身体検体を用いた測定だけでなく、本人の体感や先生・保護者からの評価の数値化、学校の出席率や疾患の発症有無など、事実ベースで評価可能な項目も多角的に盛り込み、より信頼性の高い効果測定を目指しました。 また、今回の調査では新たに「尿検査」の実施にも挑戦しました。身体を傷つける必要がなく、参加者の負担が少ないためです。 具体的には、ユーリア社と共同開発した、その場で結果がわかる検査キット「栄養コンディションチェッカー」を採用しました。専用の試験紙に尿をかけ、スマートフォンのカメラで読み取るだけで検査内容を数値化できます。ただ、現地の子どもたちはスマートフォンをもっていないため、こちらで専用の端末を配備し、先生方のお力を借りて400人分のデータを収集する体制を整えました。 ユーリア社と共同開発した「栄養コンディションチェッカー」 1人ずつ尿検査のデータを収集 ― 調査はスムーズに進んだのでしょうか。 いいえ、現実は甘くありませんでした。データを正確に集めるためには、子どもたちに体調や症状の質問の意図するところを丁寧に伝えていくことが必要でしたし、尿検査ではうまく測定できなかった事例がいくつか出てしまいました。調査の設計自体と同じくらい、学校の先生や保護者、NPOスタッフの深い理解が不可欠だと痛感しました。 バングラデシュでも日本でも、どんな調査も「相手に共感してもらわずには実施できない」というのがわたしの信念です。研究者と参加者が互いに歩み寄り、信頼を築くことで理解と共感が生まれ、初めて調査が実施できる。だからこそ、対話を重ねることで調査の道が拓けていきました。 こうした取り組みは、根気強く動いてくれた、現地の仲間たちとの連携なしには実現できませんでした。 次回は、調査の完遂に向けてバングラデシュの仲間たちを率いてくれた、大西志麻里さんにバトンを繋ぎたいと思います。 プロフィール 中島 綾香 (なかしま・あやか) 株式会社ユーグレナ 中央研究所 所長 2012年4月、新卒入社。入社後、研究開発本部でユーグレナの機能性研究に従事。各種学会などでユーグレナに関する研究成果の発表を行う。 (第3回 現地連携編に続く) #ユーグレナ・ジャーニー #GENKIプログラム #インパクト評価レポート #バングラデシュ
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創業原点の地バングラデシュで2014年よりスタートした、子どもたちの栄養課題解決を目指す『ユーグレナGENKIプログラム(以下、GENKIプログラム)」。2025年末、10年以上継続してきたこれまでの成果をまとめた「インパクト評価レポート」を公表しました。そこに至るまでの試行錯誤の舞台裏を、本プロジェクトに関わった仲間3人の声とともに、全4回にわたってお届けします。 過去の記事 バングラデシュ事業編 第1話 『ユーグレナGENKIプログラム』継続11年の答え合わせに挑む 第2回目は、今回のプロジェクトで根拠を数値化するための測定と分析を担った、中央研究所の中島綾香さん率いる研究チームです。 2014年GENKIプログラム開始当初から研究チームとして携わってきた中島さん。研究室やプロジェクトチームと対話を重ね、時間をかけて設計した調査項目でしたが、日本とは文化も環境も大きく違うバングラデシュ。現地では、日本の当たり前が通用しない想定外の壁が幾度となく待ち受けていました。この調査を前に実は、過去に一度成果の数値化を試みた経験があったといいます。今回は、現地で直面した葛藤をどのように乗り越え、11年目の調査をどのように成功へと導いたのでしょうか。 調査が難航した過去を乗り越えて、再挑戦の決意 ― 今回のチームで中島さんは、唯一開始当初から GENKIプログラムの歩みを仲間として携わってきた一員でもあります。今回、インパクト評価レポートの実施計画を聞いてどのようなことを思われましたか。 実は、インパクト評価への挑戦は今回が初めてではありません。数年前、別の手法で子どもたちの健康状態を測定するプロジェクトを進めていたんです。 しかし、初めての挑戦で、日本の基準とは異なる部分も多く、難しい場面が少なくありませんでした。確認できた傾向はあったものの、当時からお声としてはいただいていた、支援の手応えのすべてを数値化しきることができず、心残りを抱えていました。ですから今回のインパクト調査は、再挑戦の機会を得られたという思いで、強い意気込みを持って取り組みました。 ― 前回の調査の経験から、今回の調査に活かされたことなどはありましたか。 前回の調査では、日本と同じ方法で試験を行う難しさを痛感しました。たとえば、バングラデシュでは、家庭の事情で登校が途絶えてしまう子も少なくありません。一般的な調査では、同じ集団の健康状態を調査終了まで追跡していく必要がありますが、登校が途絶えてしまうとデータが欠損してしまいます。環境や文化の壁によって、科学的な分析のために必要な継続的なデータ取得が難しくなる厳しさを知りました。そのため、今回の調査では、できるだけ多くの子どもたちが最後まで参加できるように、設計時から働きかけを行うことや、全寮制の学校を対象に含めることなどで工夫しました。 また、日本では一般的な血液検査も、採血の習慣がないバングラデシュでは強い抵抗感をもたれました。そのため、検査を行うには、安全性や意義などについて保護者や学校へ丁寧に説明し、理解を得ることが必要不可欠でした。なので、今回は前回の経験を活かし、血液検査がなくても成り立つような調査設計を行うことにしました。 何度も立ち止まった文化の壁 イスラム教の全寮制の学校を訪れた中島(写真右) ― 日本との文化や習慣の違いは、調査項目の設計にも大きく影響したのではないでしょうか。 はい。血液検査とは異なる健康の調査として、反復横跳びのような体力測定も候補に含めていましたが、現地の仲間の助言により断念を余儀なくされました。しかし、いざ現地へ足を運んでみると、その理由がよくわかりました。スラム街にある対象校の多くは敷地が狭く、そもそも「グラウンド」や「体育館」が存在しない学校がほとんどです。日本の小学校では当たり前の、体育の授業が行われないという状況に直面し、改めて文化の違いを痛感させられました。 スラム街にあるインパクト評価対象校の子どもたち こうした経験も踏まえ、今回は「日本でのやり方」を現地に持ち込まないことから始めました。さらに、「現地の日常を邪魔しない調査設計」も大切に心がけました。科学的な正確さや理想を押し通すのではなく、現地の方々の意見を丁寧に聞き取りした上で、彼らの生活習慣や文化に寄り添い、無理なく協力してもらえる「今できるベスト」を模索し続けました。 一連の検討には「取り組みにより、子どもたちの生活・健康状態は本当に良くなっているのか」という問いに対して、子どもたちの変化の有無を調査と分析で明らかにしたいという、研究者としての使命感がありました。 歩み寄りと理解で切り拓いた調査への道のり ― 実際の調査はどのように進めていったのでしょうか。 採用したのは「主観と客観の両方を組み合わせて多角的に評価する」という手法です。身体検体を用いた測定だけでなく、本人の体感や先生・保護者からの評価の数値化、学校の出席率や疾患の発症有無など、事実ベースで評価可能な項目も多角的に盛り込み、より信頼性の高い効果測定を目指しました。 また、今回の調査では新たに「尿検査」の実施にも挑戦しました。身体を傷つける必要がなく、参加者の負担が少ないためです。 具体的には、ユーリア社と共同開発した、その場で結果がわかる検査キット「栄養コンディションチェッカー」を採用しました。専用の試験紙に尿をかけ、スマートフォンのカメラで読み取るだけで検査内容を数値化できます。ただ、現地の子どもたちはスマートフォンをもっていないため、こちらで専用の端末を配備し、先生方のお力を借りて400人分のデータを収集する体制を整えました。 ユーリア社と共同開発した「栄養コンディションチェッカー」 1人ずつ尿検査のデータを収集 ― 調査はスムーズに進んだのでしょうか。 いいえ、現実は甘くありませんでした。データを正確に集めるためには、子どもたちに体調や症状の質問の意図するところを丁寧に伝えていくことが必要でしたし、尿検査ではうまく測定できなかった事例がいくつか出てしまいました。調査の設計自体と同じくらい、学校の先生や保護者、NPOスタッフの深い理解が不可欠だと痛感しました。 バングラデシュでも日本でも、どんな調査も「相手に共感してもらわずには実施できない」というのがわたしの信念です。研究者と参加者が互いに歩み寄り、信頼を築くことで理解と共感が生まれ、初めて調査が実施できる。だからこそ、対話を重ねることで調査の道が拓けていきました。 こうした取り組みは、根気強く動いてくれた、現地の仲間たちとの連携なしには実現できませんでした。 次回は、調査の完遂に向けてバングラデシュの仲間たちを率いてくれた、大西志麻里さんにバトンを繋ぎたいと思います。 プロフィール 中島 綾香 (なかしま・あやか) 株式会社ユーグレナ 中央研究所 所長 2012年4月、新卒入社。入社後、研究開発本部でユーグレナの機能性研究に従事。各種学会などでユーグレナに関する研究成果の発表を行う。 (第3回 現地連携編に続く) #ユーグレナ・ジャーニー #GENKIプログラム #インパクト評価レポート #バングラデシュ
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