【読切小説】天啓|文挟亜麻
「旅をするのだ、ノア殿」 ――その賢者の言葉は、私にとって救いだった。 誰も来ていない日曜日、この教会で司祭を務めるノアは一人祭壇に向かい祈りを捧げていた。 ノアが纏う白いアルバはよく手入れされているが、古く袖や裾がところどころ擦り切れている。首から両肩に掛けているストラも色が抜けていて、深緑だったことが想像できないほどだった。 古い装束のせいもあって、ノアは実際の歳より15は老けて見える。若くしてこの村で司祭を務めることになり、落ち着いて見えたほうが村人たちに信頼されるのではないかと思っていたこともあった。しかしそのような心配は不要だと後に知る。 深く静かなため息をつ
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