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アラスカラッコ

分類:食肉目イタチ科 シートン大友の百獣画録 第64話「食事の順番」  第5話でゾウの食費、パンダの偏食、第22話でアリクイの味へのこだわりと、飼育員泣かせの動物達をご紹介してきました。今回は舞台を動物園から水族館に移しましょう。水族館の人気者の代名詞とも言える動物、ラッコです。あの愛らしい姿からは想像しにくいかもしれませんが、ラッコもまた飼育員泣かせの動物なのです。何が大変なのか。食費と手間、その両方です。  まず食費の話からしましょう。ラッコが野生で食べているのは、カニ、ウニ、アワビといった生き物達です。人間にとっては海の高級品ばかりで、しかもそれを大量に食べます。何故そんなに食べるのか。理由はふたつあります。ひとつは、ラッコが海に棲む哺乳類の中では泳ぐのが遅い部類だということです。第48話のナマケモノは「遅さの宿命」を背負っていましたが、ラッコもまた遅さゆえに、動きの鈍いカニやウニのような獲物に頼らざるを得ません。もうひとつは、ラッコが皮下脂肪をほとんど持っていないことです。第30話のワオキツネザルは体温調節が苦手な「冷え性」でしたが、ラッコも冷たい海で暮らしているのに寒さに弱い。そこで高カロリーな獲物を出来るだけ沢山食べて体に熱を溜め込まなければ、冷たい海では生きていけないのです。第62話のハイエナは何でも食べる「悪食家」でしたが、ラッコは高級品しか食べない。言うなれば「美食家」です。  そして手間の話です。水族館でラッコに餌をあげるときには、守らなければならない順番があります。あまり好きではない餌を先に与え、大好物は一番最後に出す。そうしないと、好きなものだけ食べてあまり好きではないものを食べなくなってしまうのだそうです。人間の子供と全く同じです。第22話のアリクイは味が気に入らなければ皿をひっくり返す暴君でしたが、ラッコは皿をひっくり返すのではなく、好きなものだけ選んで残りを無視する。暴君ではなく、わがままなお嬢様といったところでしょうか。地元の水族館でこの話を聞いたとき、思わず笑ってしまいました。  第5話のゾウは量でお金がかかり、パンダは質でお金がかかり、第22話のアリクイは味で手間がかかりました。ラッコは高級品を大量に、しかも順番通りに与えなければならない。質も量も手間も、全てを兼ね備えた飼育員泣かせの頂点です。・・・しかし、それでもラッコは水族館の人気者であり続けています。第5話の最後に「人気者を飼うことはとても大変なのだということが窺えます」と書きましたが、あれから随分と話数が進んだ今、改めて同じことを申し上げたい。人気者を飼うのは、本当に大変なのです。
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