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シンリンオオカミ

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シンリンオオカミ

分類:食肉目イヌ科 シートン大友の百獣画録 第77話「夫婦の絆」  女たらしやスケベな人のことをオオカミに例える話を、皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれません。しかし、この例えは現実的に考えると大きな間違いです。第53話で人間との長い関係史をご紹介したオオカミは、恋愛に対してかなり一途と言える性質を持ち合わせている動物だからです。オオカミは基本的に、一組の最も地位が高い夫婦を頂点とした群れで暮らしています。そしてその夫婦の絆は並外れて強く、どちらかが死ぬまで生涯同じパートナーと添い遂げるのが普通なのです。第14話のライオンはタテガミの黒さで雌にモテ、第31話のキリンは喧嘩の強さで雌を獲得し、第76話のバビルサは命懸けで牙を伸ばしていました。しかしオオカミの恋愛は「モテるための条件」の話ではありません。一度結ばれたら離れないという、絆の話です。  ところが、この一途さが裏目に出たという話を以前資料で読んだことがあります。イエイヌとオオカミが夫婦になったケースです。イヌにはオオカミと違い、必ずしも同じ相手と肉体関係を持たない場合があるという習性があります。第53話で「犬の兄弟分であるオオカミが、犬が持ち込んだ病気で絶滅した」という皮肉を書きましたが、今回もまた犬とオオカミの間で皮肉な事件が起きました。伴侶の雄イヌが発情期を迎えたとき、本来のパートナーであるはずの雌オオカミではなく、別の雌イヌにうつつを抜かしてしまったのです。妻である雌オオカミは激怒しました。そして、夫を噛み殺してしまったのです。  第55話のレオポンはトラを尻に敷いていましたが、あちらは夫が浮気をしたわけではありません。第70話のブチハイエナの雄は群れの中で子供よりも格下でしたが、あちらも浮気が原因ではない。オオカミの妻は、夫の裏切りに対して命で決着をつけました。生涯添い遂げるほどの絆の強さが、裏切りに対しては最も激しい怒りに変わる。愛と憎しみは紙一重というのは、まさにこのことなのかもしれません。  しかし、オオカミのこうした恋愛観は、私個人としては見習うべきところが大きいと考えています。第53話では人間に迫害され、犬が持ち込んだ病気で絶滅したオオカミの悲しい歴史を書きました。しかし恋愛に関しては、人間がオオカミから学ぶべきことがある。生涯同じパートナーと添い遂げるという夫婦の絆。女たらしの代名詞にされているオオカミが、実は動物界屈指の愛妻家だったというのは、なんとも痛快な話です。・・・ただし、浮気だけはしてはいけないということも、あの雄イヌが身をもって教えてくれています。
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