幼なじみが結婚する(1)|松本 麦
26歳の冬。幼なじみに会った。彼女の名前は椿。よく晴れた日曜日の午後、駅前の待ち合わせ場所に、彼女は浮かない表情でやってきた。いつもなら「よっ!」とか「お待たせ!」などといった軽快な挨拶をしてくるはずなのに。一体何かあったのだろうか。 疑問に思いながらもなんとなく聞けない空気のまま、目的の店に辿り着く。上着を脱ぎ、店員に注文を終えたところで、椿は少し俯きながら、遠慮がちに口を開いた。 「実はさ、報告しなきゃいけないことがあるんだよね。私ーー」
彼女との出会い ーー椿とは17年前、小学3年生の冬に出会った。初めて住む街。転入したばかりの小学校。緊張しながら足を踏み入れた教室。
https://note.com/pandme/n/nfb86f1c1e4a6