大友良英アンサンブルズが帰ってくる! 小田原の海景を望みながら観客巻き込み型の即興パフォーマンス
不要不急ではなく常に“要急”な舞台芸術学
音楽家・大友良英とアンサンブルのメンバーたちが即興パフォーマンスを繰り広げるOtomo Yoshihide Ensembles 2024「MUSICS あるいは複数の音楽たち その2」が、2024年12月8日(日)13:30~16:30@小田原文化財団 江之浦測候所で開催される。
大友良英といえば、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」(2013年)や大河ドラマ「いだてん」(2019年)の音楽を担当したことで有名だが、その真骨頂は既存の音楽にはおさまらない活動である。
今回は、小田原文化財団 江之浦測候所を舞台に繰り広げるサイトスペシフィックな観客巻き込み型の即興パフォーマンス第2弾。そこで前もって理解しておきたいのは、会場となる江之浦測候所がどういう場所なのかということ。
小田原文化財団 江之浦測候所とは
小田原文化財団 江之浦測候所は、現代美術作家・杉本博司が2017年に開設した複合アート施設である。神奈川県小田原のJR東海道線「根府川駅」から山の上へ登った高台にあり、相模湾を180度望める景観を持つ。
これは杉本が幼少の頃に見た最初の記憶が、このあたりの大海原とその水平線の風景だったということから、蜜柑畑だった11,500坪の起伏に富んだ広大な敷地を買い求め、構想10年・工事10年の歳月をかけて造成した。
施設には、さまざまな意匠が立地する。入り口には、室町時代に建てられた鎌倉の古刹・明月院の正門を移築した「明月門」。杉本の代表的な写真作品である「海景」シリーズを展示する100mの長さのギャラリー棟。能舞台の寸法を基本にした野外の石舞台。古代ローマの円形劇場を模した観客席と海に浮かんだように見える光学硝子舞台。千利休作の待庵(たいあん)を写した茶室。奈良・圓成寺の春日堂を写し春日大社から御霊分けした「春日社社殿」。化石コレクションを展示する「化石窟」。ほかに庭園、竹林エリア、待合棟などから構成されている。
そして、古美術商としても知られる杉本が若いころから蒐集した歴史的遺物など古今東西のコレクションが、四季折々の自然の織りなす壮大なランドスケープの各所に配されている。
※参照動画:YouTube(Casa BRUTUS)「究極の杉本博司作品〈小田原文化財団 江之浦測候所〉」
ここでしか体験できない即興パフォーマンス
小田原文化財団 江之浦測候所では、伝統芸能から現代アートまで幅広い文化芸術を国内外へ発信していくことをミッションとしている。そのため、ここでしか体験できないようなアートプロジェクトを展開し、パフォーミングアーツの公演も数多くプロデュースしている。今回の大友良英アンサンブルズの公演も、2022年に行われた企画の好評第2弾だ。
2022年に続き、2年ぶりに江之浦測候所で「MUSICS あるいは複数の音楽たち」の第2回目を開催します。 午後から夕暮れまでの数時間、11 人の即興演奏家やダンサーが江之浦測候所の広大な敷地の中を自在に行き来しながら、同時多発的に即興のパフォーマンスを展開します。観客のみなさんもまた自在に行き来しながら、 さまざまな場所から聴こえてくる音楽を即興的に発見していく、そんな体験になると思います。演者は、即興 演奏を専門とする者ばかりではなく、さまざまなジャンルから集まってきています。演者にとっても、聴き手にとっても、その場で起こることの中から、これまで体験したことのない何かを発見するような、そんなイベントになるでしょう。
観客は、江之浦測候所を自由に散策し、その途上でアンサンブルズと自然に遭遇。いつしか音楽・時間・空間が一体化していく。
個性豊かな出演メンバー
2年ぶりに再編成したアンサンブルは、いずれも個性的なメンバーばかりだ(以下、五十音順) 。
●江川良子/Ryoko Egawa(sax)
●木村仁哉/Jinya Kimura(tuba)
●Sachiko M(objects)
●シェリル・オン/Cheryl Ong(percussion)
●首藤康之/Yasuyuki Shuto(dance)
●巻上公⼀/Koichi Makigami(voice)
●松丸契/Kei Matsumaru(sax)
●ミカド香奈子/Kanako Mikado(fue、narimono)
●本藤美咲/Misaki Motofuji(sax)
●山崎阿弥/Ami Yamasaki(voice)
大自然とともに堪能する予想を超えたサウンドスケープ
https://newspicks.com/news/10657228/