「今をちゃんと生きている感じがする」ブラック・カントリー・ニュー・ロードが語る、現在進行形のかたち
ある日、Wikipediaのランダム検索が気まぐれに差し出した、ひとつのページ。2018年に結成されたBlack Country, New Road (ブラック・カントリー・ニュー・ロード) は、イングランド中西部・ミッドランド地方に実在する同名の幹線道路から、その名を借りて始まった。今となってはサウス・ロンドン・シーンと称される、南ロンドンのライブハウス Windmill Brixton (ウィンドミル・ブリクストン) を震源地にした、インディペンデント精神とカオスが渦巻いたギターロック・ムーブメントの中、着実に評判と信頼を積み重ねていった。2021年、ついに1st アルバム『For the First Time』でアンダーグラウンドから表舞台に姿を現すと、全英チャートでは初登場4位を記録。同年、英国で最も権威ある音楽賞「マーキュリー賞」にもノミネート。そんな彼らの輝かしい未来は、想像するに容易だった。しかし翌年2022年、2nd アルバム『Ants From Up There』という傑作を残して、フロントマンだった Isaac Wood (アイザック・ウッド) が、バンドから脱退。リリースの4日前という、本当に突然のことだった。バンドの核となる声と作詞を務めていた彼の脱退を受け、作詞とヴォーカルを1人に絞らないという民主主義的なアプローチに乗り出す。彼への敬意から既存曲は全て封印し、残されたメンバーは全曲新曲というセットリストで再び動き出した。それから3年ぶりとなるスタジオ・アルバム『Forever Howlong』を携えて、Black Country, New Road が昨年12月に3度目の来日を果たした。前身バンドの解散、パンデミックやメンバーの脱退など「バンドが終わってしまうタイミングは何度もあった」と語る彼らにとって、実はこれがキャリア初のリリースツアー。日本公演が大団円に終わった翌日、メンバーの Tyler Hyde (タイラー・ハイド) と Lewis Evans (ルイス・エヴァンス) に話を聞いた。いつだって現在進行形でキャリアを駆け抜けてきた。再現性がないからこそ、ライブに宿る魔法を彼らは知っている。
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