本作品は、米を「包む」ためのパッケージの制作を通して、身近な食材と日常の感覚を改めて見つめ直すことを目的とした。
制作にあたっては、まずCLIP STUDIO PAINTで各面のテキストやイラストを描き、その後Adobe Illustratorにて色味やバランスの微調整を行い、立方体の展開図へと落とし込んだ。
素材については、コート紙を使用した。触れたときのやわらかさや温度感があり、受け取る側に安心感や親しみを与える素材だと感じた。実際に試作を行った際も米という素材の持つ温かさと相性が良く、包む行為そのものが穏やかな印象になると考えた。また、役目を終えた後に捨てやすいという点も、日用品を扱うパッケージとして重要な要素であると捉えている。
デザイン面では、最初に目に入る表面に、箸で米粒を摘むイラストを配置した。米の艶や質感、持ち上げたときのもっちりとした感触を視覚的に伝えるため、トーンを用いて表現している。背景には緑を基調とした色を使用し、自然を連想させる和の要素を取り入れた。また、水のような形を用いることで、炊きたての米の水々しさをイメージさせる構成とした。全体のベースカラーを紺にすることで、米の白が際立つよう工夫し、端部にはご飯がおいしく見える色として赤を差し色として使用した。
箱の周囲を囲む緑のラインは、稲を干す際に用いられる竹を表しており、そこに干された稲を黄色で表現している。今回使用した米が「あきたこまち」であったことから、その名称をアルファベットで記載し、具体的な品種情報もデザインの一部として取り入れた。
米をモチーフに選んだ理由として、実家を出て一人暮らしを始めた現在の自分にとって、米が最も身近な食品であることが挙げられる。毎日の生活に欠かせない存在であり、近年の米の価格高騰という社会的背景も含め、国内外を問わず贈られたら嬉しいものだと感じた。日常性と贈答性の両面を持つ米だからこそ、それを包むパッケージにも、機能性以上に感覚や印象を大切にした表現を与えたいと考え、本作品の制作に至った。