【掌編】春結び|鳩村澪
大きなテーブルをはさんで向かいに座っている彼女と目が合った。 ファシリテーターの「それでは名刺交換タイムを設けます。自由に席を移動されて、ご歓談ください」というアナウンスの直後、同じタイミングで視線が交わったので、どうやら心細いのは彼女も同じだったらしい。小さく微笑んだ彼女は、いそいそと席を立ってこちらに歩み寄ってきた。私も名刺入れとスマホを持って席を立つ。 とあるコワーキングスペースで行われている異業種交流会で、二十人ほどの参加者がいる中、女性は彼女と私の二人だけだった。自己紹介タイムで「新卒として先月デザイン会社に入社しました」と告げた彼女は、まだ稚さの残る顔立ちをしていて、
https://note.com/hatoya_dove/n/nfa878c0fa6df